【5分でわかる】トランプ政権下で激化するフィンテック企業 vs 銀行！データ手数料問題の背景と影響

2025.08.19
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2025年8月14日、個人の金融データに対するアクセス権（オープンバンキング）について、アメリカのフィンテック業界で大きな議論を呼んでいます。この銀行データアクセス手数料の問題は、日本の金融業界にも重大な影響を与える可能性があります。
この問題がどのようなもので、どのような影響をもたらすのか、具体的にかみ砕いて解説します。

データアクセス手数料問題とは何か
【未来予測】「データアクセス手数料」が発生した場合の具体的影響
まとめ
参考・出典

データアクセス手数料問題とは何か

問題の核心

アメリカでは現在、大手銀行がフィンテック企業に対して顧客データへのアクセス料金を請求したいと主張しています。この主張が通れば、これまで無料でアクセスできていた顧客の銀行データが、今後は有料になる可能性があるのですが、現在は銀行側とフィンテック企業側の両者が主張している状態です。

金融テクノロジー協会（FTA）はデータアグリゲーターおよびフィンテック企業と協力し、大統領（ドナルド・J・トランプ大統領）に対し、自由市場を阻害し、政府による価格固定化を行うよう促す書簡を送付しました。

銀行側の反論

一方、Consumer Bankers Association、Bank Policy Institute、American Bankers Associationの共同声明では、銀行は消費者にデータアクセスの手数料を請求しておらず、銀行のイノベーションと安全なシステムへの投資により、消費者はこれまで以上に多くの金融商品と安全なサービスにアクセスできる、と述べています。そんな中銀行は、大手フィンテック企業からの毎月何十億ものリクエストを処理しており、これらのリクエストの処理には費用がかかっていますが、データアグリゲーターや仲介業者が、銀行が消費者データ保護のために行った多額の投資にただ乗りしようとしているのです。
このようなAPIアクセスに料金を請求することは、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureなど他の主要企業でも標準的である一方で、銀行が同等のサービスを無料で提供することを期待する「二重基準」は不合理であると主張しているのです。

さらに、銀行業界団体は「FTAの書簡がデータアグリゲーターや仲介業者による、個人利益のために“バイデン時代の政策”を支持するよう政権を誤解させようとする、並外れた試みである」と主張しています。

“バイデン時代の政策”がなぜ話題に挙がるのか

トランプ政権は、米国の競争力を強化し、イノベーションを可能にし、悪質な業者から消費者を保護するために大胆な行動を取っていると、銀行側は認識しています。AIに焦点を当てると、AIデータセンターの迅速な構築と重要インフラの推進を重視しており、これは経済的繁栄、国家安全保障、科学的リーダーシップを確保するためであるとされています。2025年1月には、トランプ大統領がバイデン政権のAI政策を覆し、米国のAIにおける世界的優位性を高めるための大統領令に署名しています。

これらの背景から、銀行側はトランプ政権が、消費者を保護し、イノベーションを促進するための公平な競争条件を確保する「個人金融データ権利規則」の制定を期待していることが伺えます。消費者金融保護局（CFPB）も、すでにこのプロセスを開始しているとされています。

【未来予測】「データアクセス手数料」が発生した場合の具体的影響

金融サービス利用コストの上昇

家計簿アプリや投資アプリ、決済サービス等のサービス提供会社が、銀行にデータアクセス料を支払う必要が生じれば、サービス料金の値上げや機能制限が起こる可能性があります。以下のような制限や手数料がかかり、企業だけでなく消費者への影響も懸念されます。

家計簿アプリの有料化や機能制限
投資サービスの手数料上昇
ローン比較サイトの利用制限

デジタル決済の普及への逆風

トランプ政権は2025年3月25日に電子決済の推進を発表しており、「政府の資金処理方法を近代化し、旧式の紙ベースの支払いから高速で安全な電子決済に切り替える大統領令に署名した」としています。
この大統領令は、2025年9月30日以降、連邦政府が紙の小切手での支払いを停止し、直接預金、デビット/クレジットカード支払い、デジタルウォレット、リアルタイム送金などの電子資金移動（EFT）方法に移行することを義務付けています。また、連邦政府への支払いも、既存の法律で許可されている限り、電子的に処理されなければならないとされています。

しかし、データアクセス手数料問題が解決されなければ、デジタル決済の発展が阻害される可能性があります。

デジタル金融サービス企業の減少

手数料負担により、小規模なフィンテック企業が市場から撤退する可能性があります。それに伴い、消費者の選択肢が減少すると予測されます。

まとめ

アメリカで起きている銀行データアクセス手数料問題は、日本企業はもちろん、金融サービス利用者にとって他人事ではありません。日本のオープンバンキングは、2018年に改正銀行法として法整備されて、各銀行によって料金は異なります。アメリカのこの問題の結果によっては、日本でも同様または類似の課題が浮上し、私たちの日常的な金融サービス利用に大きな変化をもたらす可能性があります。

重要なのは、今後も国際的な金融規制の動向に注目し、日本の金融サービス業界がどのような対応を取るか見守っていく必要があるということです。