ステーブルコインは従来の銀行を置き換えるのか?Circle社の挑戦から読み解く

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デジタル通貨の世界で静かな革命が起きています。2025年6月30日、ステーブルコインUSDCの発行企業である「Circle Internet Group」が米国で国家信託銀行の認可を申請したというニュースが話題になり、Circleの株価は6月だけで484%上昇しており、投資家の期待の高さを物語っているのです。そしてこの動きは単なる規制対応を超えて、私たちの日常の決済手段が根本的に変わる可能性を秘めています。

この記事では、大手企業がなぜ「仮想通貨銀行」を目指すのか、そして私たちの生活にどんな影響があるのかを、5分で分かりやすく解説します。

そもそもステーブルコインとは?

ステーブルコインとは、その名の通り「価値が安定(ステーブル)した」仮想通貨です。米ドルや円などの法定通貨と価値が連動するように設計されており、1コイン=1ドルのように、価格がほぼ一定に保たれます。

この安定性を実現するため、多くのステーブルコインは発行したコインの量と同額の法定通貨を「準備金」として保有しています。これにより、いつでも法定通貨と交換できる信頼性を担保しているのです。

日本では2023年6月に施行された改正資金決済法により、こうしたステーブルコインは「電子決済手段」と明確に定義されました。これにより、発行者や仲介業者にはライセンス制が導入され、利用者保護のルールが整備されるなど、日本国内でも安全な利用に向けた環境が整いつつあります。

なぜ今「仮想通貨銀行」が生まれるのか?

ステーブルコインの信頼性をさらに高める動きとして、発行企業が自ら「銀行」になろうとする流れが加速しています。

Circle Internet Groupは通貨監督庁(OCC)に銀行認可の申請を提出した。これが承認されれば、「First National Digital Currency Bank, N.A.」という名称の国家信託銀行が設立される。このような認可を取得している暗号資産企業は、現状Anchorage Digitalのみであり、Circleが2社目となれば、業界における重要な先例となる。

銀行という規制の厳しい枠組みに入ることは、企業にとって大きな責任を伴います。しかし、それ以上に「国が認めた金融機関」というお墨付きを得ることで、ユーザーからの信頼を格段に向上させ、ビジネスを拡大する狙いがあるのです。

仮想通貨銀行がもたらす3つの革新的変化

1. 従来の銀行業務の枠組みを超えた新サービス

認可が承認されれば、Circleは機関投資家向けに、ブロックチェーンネットワーク上の株式や債券の表現形態を含む資産の保管サービスを提供できるようになります。これにより、従来の証券業界とデジタル資産の境界線が曖昧になり、投資家にとってより柔軟で効率的な資産管理が可能となるのです。

2. GENIUS法との連携による規制基盤の確立

米国上院によるGENIUS法の可決は、ステーブルコインに対する規制フレームワークを提供する重要な法律だ。連邦規制を受ける信託認可を持つことで、Circleはこの法律の要件を満たしやすくなり、より安定した事業運営が期待できます。

3. グローバル金融システムへの統合加速

Circle社の共同創業者、会長、およびCEOであるジェレミー・アライア氏は「米ドル建て決済ステーブルコインの発行と運営に関する新興の米国規制に適合し、これにより米ドルの影響力と回復力を高め、世界有数の機関が構築するための重要で市場中立的なインフラの開発を支援できると信じている」と述べている。これは、デジタル通貨が単なる投機対象ではなく、実際の決済インフラとして機能することを意味しています。

ステーブルコインは私たちの生活をどう変える?

日本国内の動向:SBIグループがステーブルコイン取り扱う

こうした動きは海外だけの話ではありません。日本国内でも、SBIホールディングス傘下のSBI VCトレード株式会社が、国内で初めて「電子決済手段等取引業者」(登録番号:関東財務局長第00001号)として登録を完了し、米国の金融テクノロジー企業であるCircle Internet Financial, LLC(以下、Circle社)が発行する米ドルに連動するステーブルコイン「USDC」の取扱いを開始する準備を進めています。USDCは、常に米ドルと1対1で交換可能であり、流動性の高い現金および現金同等資産によって100%裏付けられています。これらの準備金はCircle社の運営資金とは分別され、大手金融機関に保管されています。

これは、日本の大手金融グループであるSBIグループが本格的にステーブルコインの流通・取扱い事業に参入することを示しており、SBIホールディングス代表取締役会長兼社長の北尾吉孝氏も、これを日本におけるステーブルコイン普及に向けた「第一歩」と位置づけています。また、Circle社の共同創業者兼CEOであるJeremy Allaire氏も、このパートナーシップをCircle社の日本およびアジア太平洋地域での拡大計画における「重要なマイルストーン」と捉えており、今後の国内でのステーブルコインの普及に大きな影響を与えるでしょう。

日常の決済シーンの変化

従来のクレジットカードや電子マネーに加えて、ステーブルコインを基盤とした決済手段が普及すれば、以下のような変化が期待されます。

  • 国際送金の簡素化:24時間365日、低コストでの国際送金が可能
  • 決済の即時性:従来の銀行営業時間に関係なく、高速な決済処理
  • 透明性の向上:ブロックチェーン技術により取引履歴の追跡が容易

金融包摂の促進

デジタル通貨の普及により、従来の銀行サービスにアクセスが困難だった地域や個人にも、基本的な金融サービスが提供される可能性が高まります。これは特に新興国や途上国において、大きな社会的インパクトをもたらすことが期待できます。

まとめ

Circleの銀行業参入申請は、単なる企業の事業拡大を超えて、金融業界全体のデジタル変革の象徴的な出来事です。ステーブルコインが従来の銀行業務と融合することで、私たちの日常の金融取引は大きく変化し、より便利で効率的なものになると期待されます。

法整備が進み、Circle社やSBIグループのような大手企業が信頼性の高いサービスを提供し始めることで、その普及は一気に加速するでしょう。

価格変動のリスクを抑えつつ、デジタルならではの利便性を享受できるステーブルコイン。その動向は、今後の金融と私たちの生活の未来を占う上で、決して見逃せない重要なテーマとなっています。


参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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