【2025年6月再注目】エンベデッドファイナンスとは?Visa提携で見る技術と政府の未来戦略

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「エンベデッドファイナンス(Embedded Finance)」という言葉を耳にする機会が増えていませんか?これは、私たちの生活やビジネスのあり方を大きく変える可能性を秘めた、2025年6月頃から世界で再注目されている金融トレンドの一つです。「組み込み金融」と訳しますが、日本では「組込型金融」や「埋込型金融」とも呼ばれています。
Visaの調査によると、エンベデッドファイナンスは2025年までにアジア太平洋地域で2,420億ドル以上の市場機会を創出すると予想されており、中小企業(SMB)向けの融資がこの分野で主要なユースケースとなり、2025年までに約1,150億ドルの市場価値が見込まれています。
この記事では、エンベデッド・ファイナンスの基礎知識から、それを支える技術、BaaSとの違い、そして日本政府の今後の展望までを、初心者にも分かりやすく解説します。

エンベデッド・ファイナンス(組み込み金融)とは?

エンベデッド・ファイナンスとは、金融機関以外の事業会社のサービスに、決済、融資、保険といった金融機能を「組み込む」形態のことです。これにより、ユーザーは普段使っているサービスから離れることなく、シームレスに金融サービスを利用できます。現代では、日常に溶け込む「見えない金融」になっています。

例えば、ECサイトで商品購入時に、アプリ内でそのまま分割払いの手続きが完了したり、会計ソフトから直接、運転資金の融資を申し込めたりするのが典型的な例です。

VisaとWeavrの提携事例

直近で起きたこの流れを象徴する出来事が、決済大手のVisaとフィンテック企業Weavrの提携です。この提携により、企業は自社のアプリケーションにVisaの決済機能を簡単に組み込めるようになりました。

Weavr is teaming up with Visa, the world leader in digital payments, to enhance embedded payments in the expanding global employee benefits sector. The collaboration enables Weavr’s B2B clients to seamlessly embed Visa payment credentials into their software applications.

(日本語訳:Weavrは、デジタル決済の世界的リーダーであるVisaと提携し、拡大する世界の従業員福利厚生分野における組み込み型決済を強化します。この協業により、WeavrのB2Bクライアントは、自社のソフトウェアアプリケーションにVisaの決済情報をシームレスに組み込むことが可能になります。)

出典:Weavr「WeavrはVisaと提携し、拡大する世界の従業員福利厚生部門における埋め込み型決済を強化します。」(https://www.weavr.io/blog/weavr-teams-up-with-visa-to-enhance-embedded-payments-in-the-expanding-global-employee-benefits-sector/)

 

このように、金融サービスが「部品」として提供され、様々なサービスに組み込まれることで、顧客体験の向上新たな収益機会の創出が期待されています。

エンベデッド・ファイナンスを支える技術「API」

エンベデッド・ファイナンスの心臓部とも言えるのがAPI(Application Programming Interface)です。

APIは、異なるソフトウェアやサービス同士を繋ぐ「架け橋」のような役割を果たします。金融機関が自社の金融機能(決済、口座照会など)をAPIとして公開することで、他の事業者はその機能を自社サービスに安全かつ簡単に「組み込む」ことができるのです。

日本政府は2017年に改正銀行法を成立させ、金融機関にAPIの公開を努力義務として課しました。これにより、エンベデッド・ファイナンスの基盤が整備されています。

類似用語「BaaS」が金融サービスの民主化を加速

BaaS(Banking as a Service)は、銀行が持つ金融ライセンスやシステム基盤を、APIを通じて一つのサービスとして提供するビジネスモデルです。これにより、非金融事業者は自ら銀行免許を取得したり、複雑な金融システムをゼロから構築したりすることなく、預金、決済、融資といった金融サービスを自社ブランドのサービスとして提供できるようになります。

エンベデッド・ファイナンスは、BaaSなどの技術を利用して、非金融事業者が自社のサービスや製品の中に、まるで元からあったかのように金融機能を「組み込む」ことです。BaaSは、エンベデッドファイナンスを実現するための重要な手段・インフラであり、料理に例えればBaaSが「食材や調理器具」であるのに対し、エンベデッド・ファイナンスは「料理」と例えられるでしょう。

日本政府の展望:経済成長の新たなドライバー

日本政府は、エンベデッド・ファイナンスを以下のように後押ししています。

  1. 調査・分析:経済産業省が主体となり、市場の実態を把握・公表。
    2022年3月に、国内外のエンベデッド・ファイナンスの動向、市場規模、主要プレイヤー、ビジネスモデル、そして日本国内で普及させるための課題や展望について分析しています。
  2. 法整備:金融庁が「金融サービス仲介業」を創設し、参入障壁を撤廃。
    2021年に施行された法律によって「金融サービス仲介業」という制度が創設されました。これにより、非金融事業者は一つのライセンス登録で、預金・貸付・保険・証券といった複数の分野にまたがる金融サービスをワンストップで仲介できるようになり、エンベデッド・ファイナンスへの参入障壁が大幅に下がりました。令和7年6月13日時点の発表では、金融サービス仲介業者の登録が合計19社となっています。
  3. 政策的位置づけ:成長戦略の中で、利便性の高いデジタル金融サービスの普及を重要課題として掲げる。
    一例ではありますが、2023年5月の自由民主党 金融調査会「提言2023」にて、以下のように明確に言及されています。
    利用者の身近なサービスに金融サービスを組み込んで提供するなど、エンベデッド・ファイナンスの動きもその一例である。
    出典:金融調査会 提言2023(https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/205909_1.pdf)

まとめ:エンベデッド・ファイナンスは未来のビジネスの起爆剤

エンベデッド・ファイナンス(Embedded Finance)は、単なる技術トレンドではありません。顧客との接点を強化し、新たな価値を創造するための強力な戦略です。
Visaのような巨大企業も動き、日本政府もその環境整備を進めている中、あらゆるビジネスにとって大きなチャンスとなるため今後もトレンドになる可能性が高いです。今のうちに、意味や動向をおさえておきましょう。

 

参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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